母とのこと。【3】
母とのこと【2】からの続きです。
===========================
それでも、母に直接その言葉を告げることは、大きな勇気を要しました。
どうしよう。
やるか、やらないか・・・。
ためらいも恥ずかしさもありました。
ところが、
・・・これが、「偶然ではない必然」なのでしょうか。
母のいる実家に、行かなければならない予定ができたのです。
また自分自身が、子育てのことで、とても悩んでいる時期でした。
書籍「鏡の法則」にあったように、
もし、私が母への行動を起こすことで、私の悩みが、少しでも解決するなら・・・
そんな、ワラにもすがるような気持ちになっていたのです。
心理的にも環境的にも、準備が勝手に整っていました。
そして、子供たちを連れて、実家に行きました。
母は相変わらず、炊事、洗濯、掃除などをいつものようにやっていました。
「何か手伝おうか?」と言っても、
「いいよ、座っていて。」と言い、
当然のように自分で済ませ、私たちのために、食事や布団を用意してくれました。
そんな母に、
「ありがとね。」「助かるよ。」
・・・今まで以上に気持ちが入って、お礼を言う私がいました。
そのせいか、心なしか母も、私に対して優しい態度だったような気がします。
いつもはよく出てくる、誰かの悪口や愚痴も、
その時は、ほとんど聞かれませんでした。
「さあ、言わなきゃ。」
「鏡の法則だ。実践だ。」
「でも、どのタイミングで・・・。」
私は何度も考えては、ドキドキしていました。
とにかく、2人きりになるチャンスを伺っていました。
・・・もうそろそろ、帰らなければならないという、1時間くらい前のこと。
微妙なチャンスが生まれました。
父や子供たちが外に出て、母と2人きりになったのです。
しかも、母が突然に、
「お前は、自分は(お母さんに)怒られてばっかりだった、って思っているんでしょ。」
などと、言い始めました。
私は焦りながら、
「えっ、いや、確かに子供の頃はそう思っていたけど、
でも、まあ、今になって思えば、しょうがなかったのかなぁ。って思ってるよ。」
・・・などと言いました。
いよいよ言う時が来たのか。
でも・・・
そう躊躇しているうちに、
下の娘が、「おしっこ~!!」と、帰ってきてしまいました。
「おしっこ?!ハイハイ!」
私は、逃げるように娘を連れて、トイレに行ってしまいました。
結局その後、実家にいる間は、チャンスが訪れませんでした。
私は、母が畑から取ってきたたくさんの野菜と、
スーパーで安売りしていたからと、わざわざ買って来てくれた果物などをもらい、
そのダンボール箱を抱えて、実家を後にしました。
ダンボールと子どもたちを車に載せ、自宅へ帰るその車中。
私は、一人、自問自答を続けました。
「いいのか?言うことができなくて、よかったのか?」
「もし、このあと万が一のことがあって、母に一生、
感謝の気持ちを伝えることができなかったとしたら、それで私はいいのか?
本当にこのまま、帰ってしまっていいのか?!」
そう考えると、いても立ってもいられない気持ちになってきました。
幸い、車内にいる子供たちは、おじいちゃん(父)とたくさん遊んでもらったので、
実家を出てすぐに、チャイルドシートで寝てしまいました。
私は車を停め、携帯電話を取り出して、実家に電話をしました。
すぐに母が出ました。
「あっ、お母さん?あの、いや、忘れ物をした訳じゃないんだけど、
あの、言い忘れたことがあったからさ・・・。」
ドキドキする思いで、でも、とりあえず言えることだけ言ってしまおう、
そう思い、言葉を続けました。
「あのさ、実家にいる間、ご飯作ってくれたり、洗濯してもらったり、
・・・子どもたちの服まで、・・・そういうの、本当にありがとね。」
「それからさ、私、子供の頃、そういうことをお母さんがしてくれてるの、
当然のように思ってて、お礼も言ってなかったけど、・・・。
・・・全然、当然じゃなかったなぁ、って思って。
何かさ、私、自分で家事や育児やるようになって、全然、当然のことじゃなかったなぁ、
面倒臭い時もあるんだよな、って、気がつくようになったんだよね。
だから・・・。
本当に、ありがとね。
・・・全然、当たり前のことじゃなかったよね。
・・・感謝しなきゃいけないことだったのに・・・。
わたし、全然、分かってなくて・・・。
手伝いも、ろくにしなくて・・・。
本当に、ごめんね・・・。」
何だか、泣きながら母に伝えていました。
母は、多分それ(泣いていること)も察していたのでしょうが、
その事は特に言わず、ただ、弱いような、優しいような声で言いました。
「・・・いいんだよ、別に。そんなこと。」
「ただ、とにかくアンタは、無理するんじゃないよ。
いっつも忙しそうだけど、無理しないで。
とにかく、身体壊したら、しょうがないんだから・・・。」
そんな、私のことを心配するような言葉を掛けてくれました。
「うん。・・・うん。そうだね。そうだよね。
・・・ありがとう。
気をつけるよ・・・。」
時間にしたら、5分程度のやり取りだったと思います。
結局言えたのは、簡単な感謝の言葉だけでした。
母がどう捉えたのかは、正直、分かりません。
でも、わたし自身は、大きく救われるような気持ちで満たされました。
ずっと、ず~っと恨んでいた母のことを、
心から感謝し、しかも、その思いを素直に伝えることができた。
「母を許した」のではない。
わたし自身が、許されたんだ。救われたんだ。
・・・そんな気持ちで、いっぱいになりました。
子供たちが寝続ける車中で、私は、感動と安堵感に浸りながら、
泣きながらのドライブを続けたのでした――。
母とのことを シリーズで書いている私ですが、
特にこの記事の反響には、正直、自分が一番驚いてしまいました…。 (^^;)
ブログに頂いたコメントの他にも、直接メールを頂いたり、ブログを知っている知人に声をかけられたり…。
読んで下さった皆さん、コメントやメッセージを下さった皆さん、本当に、ありがとうございました。
で、でも・・・
どどど、どうしよう。
昨日の感動話でやめておけばよかったかしら・・・。(^_^;)
つづきは、みんなが期待しているような展開じゃないかも・・・。
何だか、あまりの反響に 妙なプレッシャーを感じてしまっている私です・・・。