安倍さんの銃撃事件とバウンダリー

じぶん調整

今日起きた、安倍元首相の銃撃事件、大変驚きました。

今日は元々、メルマガを書く予定で時間を取っていたのですが、そこに、このニュースが飛び込んできました。でも、このニュースはまさに、今回わたしが書こうと思っていた内容と、関連する出来事だと思ったんですね。

そこで、書こうと思っていたテーマは変えずに、中身だけ、今回の事件を題材に書いてみようと思います。

※本記事は、メルマガ配信した内容を、記録保存のためにそのまま引用して掲載しています。

今回の目次
【1】バウンダリーとは
【2】バウンダリーの本質とは
【3】今回の事件で、区別と尊重をすべきところ

【1】バウンダリーとは

私が今回書こうと思っていたテーマは、

「バウンダリー」でした。

バウンダリーとは、
「自と他を分ける境界線」のことです。

・これは私のもの。私の範囲。
・それは相手のもの。相手の範囲。

そうやって区別すること、線引きすることを、
「バウンダリーを引く」と言います。

バウンダリーは、カウンセリングや対人援助の世界ではよく使われる、とても重要な概念です。

そうそう、アドラー心理学では「課題の分離」という言い方をします。

「嫌われる勇気」というベストセラー書籍を読まれた方は、「課題の分離」という言い方の方が、なじみがあるかも知れませんね。

 

【2】バウンダリーの本質とは

実は、アイバランスが開催している10か月プログラムの今月のテーマは、「バウンダリー」でした。

生きやすくなるためにも、人間関係をより良くするためにも、絶対に外すことができない、超・重要な内容です。

そのため、プログラムの動画教材も、かなり気合いを入れて作りました。娘にもオリジナルイラストを描いてもらい、我ながら、かなり分かりやすくまとめられたと自負しています。(笑)

バウンダリーは、多くの方に知ってほしい、身につけてほしい内容なので、今月の動画教材だけでも、単独で別売り販売しようかな…などと、検討しているところです。

…と、スミマセン。
話が少し逸れました。

そんな、生きやすくなるために
不可欠な重要概念、「バウンダリー」。

このメルマガで、そのエッセンスを少しお伝えしたいと思います。

まずお伝えしたいことは、
バウンダリーの本質です。

バウンダリーの本質は、
区別と尊重をすること。

その、区別したり、尊重したりできる「力をつける」こと、その「感覚を育てる」ことが、とてもとても重要なのです。

【3】今回の事件で、区別と尊重をすべきところ

ここで、本日(7月8日)起きた、安倍元首相の銃撃事件の話になります。

テレビでもネットニュースでも話題になっているので、皆さんご存知でしょうか。

本日11時半頃、奈良市内の路上で街頭演説をしていた自民党の安倍元首相が、散弾銃で襲われるという、ショッキングな事件が発生しました。

私ももちろん驚きましたが、まず思ったのは、このようなショッキングな事件が起きると、

マスコミなどの大騒ぎ
→不安や動揺が強まる
→クライアントさんが増えること

その懸念でした。

それもあって、アイバランスのメルマガでは時々、このような大きなニュース発生時に、情報に振り回され過ぎないように、というメッセージを発信することがあります。

(今回も、それはお伝えしますね)

さて、バウンダリーの観点から考えると、
今回の事件では3つ、「区別と尊重をすべきところ」があるのです。

その3つは、以下の通りです。

◆その人の「信条」と「人権」を区別すること
◆「衝撃的なニュース」と「自分の生活」を区別すること
◆「内側で感じたこと」と「外側に表現すること」を区別すること

1つずつ、説明していきますね。

 

その人の「信条」と「人権」を区別する

その人の「政治信条」と、その人の「人権」は、区別すべきです。

政治信条だけでなく、その人の信仰、宗教、価値観、発言…。
区別し、尊重されるべきです。

例え、自分が相手の信条を気に入らないと思ったとしても、それを理由に、相手の人格を全否定したり、あるいは今回のように、暴力で抹殺しようとしたり、攻撃を与えたりすることは、言語道断です。

「その人は そう思うんだ。
 私は そうは思わないけど。」

そう捉えて、区別と尊重をすべきです。

今回の事件は、あまりにも極端で分かりやすい例ですが、

「相手のことが気に入らないから、ネットなどで、その人の人格否定をする。人権侵害のような差別的発言や行動をする」なんて、よく見かける事例ですよね。
区別と尊重ができていない例です。

否定したいなら、その否定したい「行動や部分」だけを、冷静に、必要な配慮(尊重)を行った上で、否定すればよいのです。人権や法、ルールを犯しての否定は、間違っています。

「衝撃的なニュース」と「自分の生活」を区別する

上にも少し書きましたが、この区別も、とても大切です。

今回の事件は、確かにショッキングだし、世界中で注目される、大きな事件です。
「民主主義の危機だ!」などと、マスコミも興奮して訴えています。

確かに、その通りかも知れません。

ですが、その大きな命題に振り回されて、

「今、自分がやるべきこと」
「今の自分の生活、心身の健康」

が おろそかになってしまっては、良くありません。

世界には、様々な問題、危機、不安材料があります。
でも、私たちが最優先すべきは、今現在の、私たちの生活や健康です。

自分の生活や、心身の安定を保つこと。

世の中がどうあろうと、自分のできる範囲で、そこを保つ努力をすること。自分の面倒をみること。

それを忘れたくありませんね。

外側の様々な情報や刺激に、無防備に「さらされて」いると、その大切なものが、脅かされてしまいます。

自分を守るために、外側の情報とバウンダリーを引くこと。
必要な距離をとること
を、忘れたくないものです。

「内側で感じたこと」と「外側に表現すること」を区別する

正直わたしは、安倍元首相のことが、あまり好きではありません。

また、ニュースで安倍さんが心肺停止という情報を知った時、瞬間的に「助からないだろうな」という考えを持ちました。

このような、自分の内側で「感じてしまう」こと、「思い浮かんでしまう」ことは、その発生を、コントロールすることは出来ません。

感情や思考が「思い浮かんでしまう」のは、しょうがないことなのです。

ですから、「そんな不謹慎なこと考えちゃダメ! 感じちゃダメ!」などと、自分を責めたり抑圧したりしても、それはナンセンスなことです。

ですが、

「それを外側に表現するか・しないか」
「どんな風に表現するか」
は、別問題。

そこは、いかようにも、コントロール(配慮や工夫、リスク回避など)をすることができます

私の場合は、安倍さんのこの件について語るのは、メルマガくらいにします。
不特定多数の人が読み、拡散その他のリスクが高い「SNS」では、やめておこうと思っています。

また、今回メルマガに書く「書き方」や「言葉づかい」についても、私なりに検討をしました。

センセーショナルな内容を面白おかしく書くのではなく、あくまで、バウンダリーという概念を知ってもらうための、一材料、一話題として、扱っているつもりです。

こんな風に、自分が「内側で感じたこと」と「外側に表現すること」を、ちゃんと区別すること。
そして、外側に表現する時は、自分自身の尊重と、他者への尊重(配慮など)をすること。

この線引きは、とても大切だと思います。

 

では以上、

【1】バウンダリーとは
【2】バウンダリーの本質とは
【3】今回の事件で、区別と尊重をすべきところ

という内容で、お伝えしました。

ちなみに、時事的な内容を扱った方が、メルマガ読者さんも興味を持って読んでくれるのでは、という下心も、もちろんあります。(^^;)

でも、内容としては、とても大切なことを書いたつもりです。
少しでもお役立ていただければ幸いです!

では、どうぞ皆様、
バウンダリーをしっかり引いて、
ご自身の「安定」を大切にしてくださいね。

 

 

四葉さわこ

四葉さわこ

公認心理師。愛着トラウマが専門。カウンセリングルーム「アイバランス」代表。

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