進学トラウマについて、大人に伝えたいこと

学び・資格

進学、進路は大切なことだから。
ふだん以上に、
「区別」と「尊重」を忘れないで。

よくある進学トラウマ、進学エピソード

この記事は、下記の流れで書いています。

【12】貧乏だと、夢も高校も選べない。

【14】必死にもぎ取った大学進学

意外と多い進学トラウマ

前回、「意外と多い進学トラウマ」の記事で、
下記の2つが、臨床現場でよく見受けられることをお伝えしました。

【1】進学したかったのに、叶わなかった
≪例≫
・経済的理由から、進学できず就職を選ぶしかなかった。
・夢をあきらめる形となった。
・希望の進学先に通わせてもらえなかった …など。

【2】本人は望まないのに、親が望む進学ルートを強いられた。
≪例≫
・気がついたら進学塾に通わされ、中学受験やエリート進学校への受験ルートに乗せられていた。
・親の期待や圧が強すぎて、反論など一切できず、ずっと従ってきた。
・学歴・成績至上主義の家庭に育ち、それしか選択肢がなかった …など。

この記事では、その続きとして、
思い当たる親御さん”、”子どもに関わる大人”に、
伝えたいことを書きたいと思います。

子どもに関わる大人に伝えたいこと

ただ、最初に 打ち明けておきます。

こんなことを書いてきていますが、
実は私も、以前は全然”ダメダメな親”だったのです。
(詳しくは、今後の四葉ストーリー、子育て編で!)
だから、とても偉そうには言えないんですね。

だけれども、それで、
自分も子どもも辛くなった経験があるからこそ。

カウンセラーとして、
辛くなっている親御さんやお子さんを
たくさん見てきたからこそ。やっぱり、伝えたい。問いたい。
そう思うのです。

◆あなたは、あなたの思う
「良かれ、正しい、常識」を、子どもに 押し付けていませんか?

◆自分が子どもの頃に叶わなかった「理想や思い」を、
子どもで叶えようとか、リベンジしようとかに、なっていませんか?

◆世間や親、親戚の目などを気にして、
「自分の保身や見栄」のために、
子どもの人生をコントロールしようとしていませんか?

皆さん、頭では
ちゃんと分かっていると思うのですが、
親の人生と、子どもの人生は、やっぱり違います。
別物です。

その「区別」や「尊重」をすることが、
本当に本当に大切です。

▼専門用語では、これを「バウンダリー」または「境界」と言います。

親と子に限らず、
普段から、全ての人間関係において、
この区別や尊重をすることは、大切なことです。

そして、今回 話題にしている
「進学や進路」というテーマは、
人生レベルの話です。
ですからなおさら、それは大切になりますよね。

もちろん、
人生レベルの重要なテーマだからこそ、
周りの大人もつい、
いろいろな口出しをしたくなるのですが…。

改めて、
区別や尊重をするために、
大人にぜひ忘れてほしくないことは、
以下の通りです。

・「本人が納得できる」形にすること
・「本人が選ぶ」形にすること
(例え、本人の希望通りにならなくても)

そして、
・このプロセスを確実に取ってあげること

親や周囲の大人は、
子どもより人生経験がある分、
あるいは、保護者である責任とか、
お金を出す立場であったりする分、

いろいろな「伝えたいこと」
「アドバイスしたいこと」があるのは、
確かに、無理はありません。

ですが、それを
押し付けないでほしいのです。

自分の持っている考えや事情、知っている情報などは、
あくまで、子どもを尊重する形で、伝えてあげてほしい。

「参考情報を提供する」つもりで、
必要な範囲で、経験談や情報、
大人側の事情、親の期待などを語ることは、
アリと思います。

ですが、その選択や決定という場面においては、
あくまで「本人」が、
選んだり、決めたりする形を取らせてあげる。
面倒臭がらずに、そのプロセスを丁寧に踏んであげる。

それが、とても大切なんです。

本人に決めさせるのが難しい場合は?

もし、子どもの年齢や能力的に
子ども本人に決めたり
選ばせたりするのが難しい場合は・・・

せめて、本人が「納得できる」ように、
その子の年齢や発達段階にあわせて、
説明を尽くしてあげてください。

そして、ちゃんと本人に
「お母さんはこれがいいと思う。どうかな?」と確認し、
子どもが どんな反応をしているか、
ちゃんと観察してあげてください。

そこに特別な抵抗がなく、
「納得、同意」が見られるなら、
お母さん(あなた)の選択を
採用してもいいと思います。

これは、習い事とか、
そういうことでも一緒だと思います。

押し付けやコントロールを続けると

上のようなステップをあまりにも軽視して、
親の権力で押し付けたり、
コントロールしたりを続けると・・・

お子さんは確実に、自己肯定感が低下し、
気力やエネルギーどんどん奪われていきます。

そして、自分で考えたり、決めたりする力も、育ちません。
常に受け身で、
「自分の外側に、正解や無難な答えがある。」
それを常に気にして、常に求めてしまう。
そんな姿勢が身についてしまいます。

そして、そんな人生は、楽しくありません。
「自分で決めた」納得感がありません。
「自分を生きている」充実感がありません。

その不満やストレスはじわじわと積み重なっていって、
前回の記事であげたような、
不登校とか、引きこもりとか、
自傷行為、うつ、無気力、惰性の生き方、
自分に全く自信を持てない・・・

そんな形で、後から大きなツケとなって、
問題が噴き出してきたりするのです。

そんなことを防ぐためにも、
ぜひ、自分(大人)と、
相手(子ども)を区別すること。
そして、尊重してあげること。

このことを、くれぐれも
気をつけてもらいたいのです。

四葉さわこ

四葉さわこ

公認心理師。愛着トラウマが専門。カウンセリングルーム「アイバランス」代表。

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